ずっと焦がれていた甘味処へ、足を運ぶ機会に恵まれました。
哲学の道からほど近い通りにある、「喜み家」という処。甘味を求めて出かけるなんていうのは珍しいのですが、なぜかここへ、私は昔から行きたくて仕方がなかった。「豆かん」に盛られている、つやつやと柔らかそうな赤エンドウ豆の姿に、きっと一目惚れしてしまったのでしょう。根拠のない情熱、というのは、しかし得てして良い結果を生み出すもの。
「豆かん」は、ささやかな楽しみとしてうちへ持ち帰り、店内では「あんみつ」をいただきました。つやつやと甘い杏、もちもちの白玉団子、そして「あんみつ」のなかでいちばん好きな黒蜜が、うっとりするほど美しく相まって、ひさしぶりに感動したおやつタイム。
お店のおばちゃんも、すごくいい感じだった。バラ模様の洒落た手拭いを頭に巻いていて、「豆かん1つ、お持ち帰りね、ハイハイ。あらまぁ、それで肝心の注文はなんやったかしらねー」なんて言いながら、厨房から戻ってきたりしていた。ところどころにアジアの布が下がっていたり、家具は西洋風だったりして、でもなんだか静かでしっとりした空気が店じゅうを覆っていました。
こんな休憩処、うちの近くにもあれば良いのになぁ。甘いものを得意としない私ですが、なんだかひさしぶりに、そんなことを心から願った次第です。