今日は、京都駅に隣接した
NHK文化センターにて、1日講座の講師を務めさせていただきました。テーマは、夏の食卓へ向けたベトナム料理。夏野菜を使う家庭的なおかずを3品、冷たい甘味を1品、ベトナムの食文化や食習慣についての話なども交えつつご紹介しました。
鼻歌をふんふんやりながらでも料理のできあがる自宅キッチンとは異なり、白紙の状態から何もかも組み立てなければならない、外部での料理教室。何度やってみても、まだまだ学ばせていただくことが山のようにあります。
なんというか、どちらも経験したことはないのだけれど、これは少しキャンプとか演劇に似ているような気がする。準備は万全、でも、あ!あれを持ってきたら良かった。とか、えぇいやっぱりこっちでやってしまおう。とか、作業も話す内容もアドリブの連続です。結局はそこにあるもので、そこだからこそ楽しめるように。そんな冒険的な精神が宿っているように思えてなりません。
写真は、講座を終えて帰宅したあとの私の賄い。
残っていた食材で、いつものレッスンと同じように、生徒さんたちと同じベトナム料理を作って食べることにしました。トマトの肉詰め、青梗菜と海老の酸っぱいスープ。
(……肝心のレッスン風景をすっかり撮り忘れていたのです)
それにしても。
12人もの人々を目の前に1人で料理してみせたり、すらすらと喋ることができるようになるなんて、数年前の私にはとても信じられないことでした。厨房の中が仕事のすべてで、オーダーを手早くこなすことへとにかく心血を注いだり、そばで動いているスタッフの気配へいつも神経を集中させていた、ほんの少し昔の自分には。それゆえか、未だ講師という肩書きにはさっぱり馴染めず、料理人ですと言ってしまう。
食べている人の表情を眺めるのが好き。作って出して、空っぽになったお皿をじゃぶじゃぶと洗って片付けたい。まったく欲張りなのかもしれませんが、やはりそこまでやりたいと考えている自分に、ふと気がつくときがしばしばあります。