料理教室で出すお茶がホットに変わると、「あ、秋やな」と毎年思います。
今年はタイ産のリラックスグリーンティーと、ベトナム産蓮茶の2本立て。どちらもぐらぐら煮立ったお湯を注ぐと、日本の台所でもシャンと背筋が伸びるような香りがたちのぼる。
ベトナムの蓮茶は、緑茶の茶葉に蓮の雄しべで香りづけしたもの。今年は夏にハノイでおいしい蓮茶を仕入れてきたので、それを教室でもお出ししています。お土産としても名の知れたベトナムのお茶ですが、きちんと作っているところは、もう数軒しかありません。
蓮の雄しべを摘む作業は、こんなふうにすべて手仕事です。茶葉にまぜて葉っぱや花びらと包んだら、時間をかけてじっくり半発酵させます。手間ひまかかるお茶だから、スーパーなどで手に入るカジュアルな蓮茶には、人口的な香料が使われていたりもするんだそう。
雄しべを摘んだあと、道路にまであふれんばかりになっていたピンク色の花びら。「それはどうするの?」と聞いたら、「エステに持っていくのよー。お風呂に浮かべたらきれいでしょ?」と軽やかにウィンクされました。さすがは国花、蓮茎や根っこのれんこんの食用のみならず、すみずみまでまったく無駄がありません。
ビールは外国へ浮気しつつの私ですが、お茶はまだまだ本命一筋です。