まだまだヨーロッパ気分を引きずっていて、ちょっとホームシックのように、アンチョビやパプリカの料理を作りたくなったり、やたらワインを飲みたくなったりしています。が、まあそうも言っていられないので、脳みそをグイッと南国へ連れもどし、たまっていた試作をこなす日々。
ふだんと違う食文化に触れたあとには、いつものアジア食材や味に対する視点も、ちょっと変わったような気がします。そうやって改めてキッチンに立つと、手先はとてものびのび動いてくるように思えるから、不思議なもの。
そろそろ湯気がおいしくなってきたので、教室でもスープ麺を作ります。これは、ハノイ風五目ブン。鶏肉と干し椎茸でダシをとったら、ほんのりと懐かしい味わいのスープに。ハノイの肌寒い町並みがよみがえった。
出張レッスンで作る、ラオス風の肉みそのっけラーメン。何年か前、店のメニュー用に作ったレシピを引っ張り出してきて、今年行ったラオス旅行中のメモと合わせつつ、新しいレシピに作り直しました。この麺のすばらしい点は、麺を食べたあと残ったスープを肴に、ビールをチビチビと飲めるところです。
そういえば、このあいだ呑み屋で、土瓶蒸しとアン肝をアテに日本酒を飲みました。松茸とかぼすはうっとりするくらいに芳醇、アン肝は絶妙な火のとおり具合で、これにはやっぱり米のお酒がいるなぁ、とジーンとなった。こういう繊細な料理を体が感受できるのは、やっぱり日本人ならでは、なのかもしれません。