ついこのあいだまで、薄っぺらいシャツを羽織ってビーチサンダルでいたのに。日が落ちてからと、起きがけの空気がすっかり変わりました。今年は夏も秋も、ぐずぐずと優柔不断やなぁと思います。
季節の変わり目だからか、仕事のリズムが散らかっていたせいか、はたまた誘われるがままに出かけていたせいか。ここ数日、なんとなく気忙しいような、定まらない時間を重たい体でもてあましていました。
どんな日であろうとお腹はすくので、そういうときはのろのろと台所に立ちます。
冷蔵庫のなかを探ると、「98円均一!」に刺激されて買ったキノコが3種類。ぜんぶ手でほぐしながら、スープにしようと決めます。唯一ダシの素になりそうなベーコンを小さく刻み、しなびかけていた青ねぎも刻む。ひんやりした部屋でキノコの香りを嗅いでいるうちに、クリームっぽい味が恋しくなったので、買ったまま放っていた豆乳の栓を開けてトポトポと注ぎ、ひと息つく。
豆乳スープにはほんの少しみそを混ぜると、ホッとするやさしい味になります。でも、なんとなく田舎くさいような、ぼんやりした味だとも思う。だから、しあげに黒こしょうでピリッと引き締めるのが大事。どうかなと食べてみると、そういえば私はこの味が好きやった、と脳みそがふいに覚醒しました。
日常がフッと着地するのは、料理をしているときの、こういう瞬間です。